creature2018@仮設

長い18世紀のイギリス

Twitter利用をやめるに至った経緯の覚え書き

2022年10月頃、Twitterイーロン・マスク氏に買収されて以来目にしてきたニュースや、自分の心境の変化を覚え書きとして記しておこうと思います。

2022年11月~12月頃

  • Twitter社の社員が、なされるべき事前告知なしに大勢解雇される(←人員整理が必要にせよ、やり方がひどいと思った。法的にも)
  • 青い認証マークの有料化の告知(←収入源を多様化とのことらしいがそこではないだろう。買収されても結局歓迎できる改定はないのか、と単純に落胆。単純というか考えが浅い)
  • Twitter Trust & Safety Council が解散させられる(←この点に関しては、日本語圏のTwitterは以前からヘイトが蔓延していたためか、あまり実感がなかった)
  • 細かいUIの変更等、徐々に使い勝手が悪くなっていく

2023年の年始時点ではTwitter利用をやめるつもりはまったくなかった。理由は以下の3点:

  1. 情報取得に使っている
  2. フォロワーさんとのつながりを断ちたくない
  3. 以上を代替する手段はありそうだが、色々面倒そう

それに、この調子ではいずれTwitterはそのシステムを維持できなくなり、サービス終了することになるだろうと予想していた。だからそれなりに最後まで付き合おうと思っていた。実際、2023年3月12日、ほぼ2年ぶりにTwitterへの投稿を再開した時の私は「戻ってきた途端Twitter終了しないかどきどきしてます」と書いている。

ところが復帰から一ヶ月ほどで出ていく決意を固めることになる。……まあ私が頓珍漢なのは今に始まったことではない。

2023年2月(2023-05-17追記)

幸い自分のアカウントが利用停止の憂き目に遭うことはなかったものの、観測範囲は混乱に陥っていた。「マシュマロ」利用者(のうち自動投稿設定をしている?)をはじめとする様々なアカウントが立て続けに凍結されたようだった。SNSではこういうことが特に可視化されやすいように思うが、騒ぎは広まりやすいが解決方法もまた広まるもの。個人同士の助け合い精神が発揮されるというかサバイバルのための情報共有・拡散が行われ、全体的には数日で沈静化した印象。その後、アカウント連携ができなくなるから別途ログインできるように設定しておくんだよ! という旨の有志による注意喚起の数々が駆け巡ってもいた。

2023年3月

  • 3月8日頃: マスク氏が、元Twitter社員(筋ジストロフィーの持病がある)を陰で侮辱し、その後――おそらく金銭が絡む契約上の理由から――「謝罪」した、とのTwitter投稿を見る(←侮辱の時点で人としてどうかと思うし、その侮辱というのも本人のアカウントに向かってではなく陰口然としている上にその後の「謝罪」が最悪。備忘として: マスク氏の「謝罪」のオリジナル投稿へのリンク
  • 3月12日: ほぼ2年ぶりにTwitterへの投稿を再開

経営者個人の人間性と、その企業の関連性を甘く見ていたこの頃……。

2023年4月上旬

  • 4月4日: 突然の柴犬ロゴへの変更&数日で青い鳥ロゴの復帰、に出くわす。 cf. Twitterのアイコン、「柴犬」から「青い鳥」に戻る “隠しコマンド”は健在 - ITmedia Mobile(←Twitter というサービス名に関わる鳥のロゴを変更するからには相応の考えがあってのことで、ゆくゆくは柴犬に合わせてサービス名も変えていくのかもしれない、と一瞬考えてしまった。もちろんそんなことはなかった。露骨にテンションが下がった。やはりTwitterはもう駄目だ、と感じさせられた。増益を目指すという割に、自社サービスの持つブランド力すらぞんざいに扱うとは……)

  • 4月8日頃: 外部サービスを含む投稿の拡散を制限しているらしいことを知る(←ユーザーを繋ぎ止めるために改善を行ったり魅力ある策を打ち出したりする のではなく 、流出を防ぐために不合理なルールを強いて、束縛する。当該投稿を見て実際にRT不可になっているのを確かめた時、気持ちとしては一瞬限界点を超えた。頭ではなく身体的な拒否感を覚えたため。そのまま踏み出せなかったのは、やはり移転コストがあったからだった。要するに、まだ面倒くささが勝っていた。強いぞ、面倒くささ。重いぞ、我が腰)

  • 4月11日頃、X社への統合により、Twitter社が既になくなっていたことを 外部から 知らされる(←Facebook社が社名を Meta Platforms に変更した時、正式にプレスリリースしましたよね。それに比べてT社は社名変更どころか統合されたのに、正式な発表すらない。……企業としての責任はどこ行ってる?)

3月時点で思っていた「Twitterサービス終了まで(惰性で)付き合う」という心積もりはこの時点ではすっかりなくなり、4月上旬には離れるきっかけを求める気持ちになっていたように思う。

2023年4月中旬

  • 4月19日頃: 「TruthGPT」開発を行っていることを発表(←いかにも陰謀論じみたお名前だと冷ややかに見る。自分に及ぶかもしれない影響に気づいていなかった私の愚か者め)
  • 4月20日頃: Twitterの引用欄から興味を持ち、メタクソ化の記事を読む。

以下、当該記事「メタクソ化するTiktok:プラットフォームが生まれ、成長し、支配し、滅びるまで | p2ptk[.]org」より引用。

プラットフォームはこのように滅びていく。まず、ユーザにとって良き存在になる。次に、ビジネス顧客にとって良き存在になるために、ユーザを虐げる。最後に、ビジネス顧客を虐げて、すべての価値を自分たちに向ける。そうして死んでいく。

と、まず冒頭でプラットフォームの栄枯盛衰の概略が示される。記事の題名で名指しされているTiktokでいえば、こういうことらしい——

YouTubeInstagramなどの競合が必死にユーザを囲い込む中、Tiktokはユーザが望むであろうコンテンツを誠実にレコメンドし、誰もが想像だにしなかったほどの規模でオーディエンスを獲得した。
〔略〕
だが、そのTiktokでさえ、ユーザが見たいものではなく、ユーザに見せたいもの見せるという誘惑には勝てなかったのである。

あるいは、Facebookでいえば、こういうこと——

当初、Facebookはあなたが好きな人、気になる人の投稿を表示してくれる良きプラットフォームだった。だがひと度、あなたの大切な人たちがFacebookを利用するようになると、事実上、そこから離脱できなくなってしまう。

詳細は引用元の記事をご覧いただきたい。これと同じことがTwitterでも起こっていて——

Twitterが相互運用可能なクライアントを禁止し、APIを改悪し、Mastodonのハンドルをプロフィールに記載したユーザを定期的に凍結して恐怖を与えることで、Twitterからの離脱はますます難しくなる。その結果、ユーザに離脱されるリスクを犯すことなく、ユーザを虐げられるメタクソ化に拍車がかかることになる。
〔略〕
メタクソ化戦略の成功の鍵は、絶妙なさじ加減である。どれほどユーザを囲い込んでも、やりすぎればいずれ限界点に達し、離脱されたり、路線変更を余儀なくされる。

ここ数カ月に渡る自分の心境が少し形になってきた(この時点で気づこう)。

(この記事を書いている時点で思うことは: なるほどね、ユーザーを囲い込んで逃げられなくしておいて、その後は思う存分虐待するわけですね。へぇー。つまりソーシャルな繋がりを失いたくないユーザー心理につけこんで調子乗ってるんですね、T社もといX社CEOは。へぇー。そうと意識できるようになると腹立たしいですね。利益を求めるのは大いに結構なんです、民間企業ですから。でもやり方ってものがありますよね、ついでに言えばユーザーを虐げるための「絶妙なさじ加減」どころか明らかに下手すぎですし。なるほど確かに利用者には「離脱の自由」が必要だ)

  • 4月21日: 従来の青い認証マークがついに廃止されるのみならず、なんかもう……な解説を読む。

以下、その nofrills@nofrills さんの一連の投稿 からの引用。

マスクによる買収前からのTwitterの青い認証マーク #BlueCheckMark が消されて、このマークが「このアカウントは著名人のなりすましアカウントではなく本物です」ということを示していた時代は過去のものになったが、スティーヴン・キングとルブロン・ジェイムズは青認証マークが付けられたままだと(続
続)この件、マスク自身が「キングとルブロンとシャトナーは、おれがカネ出して青認証マーク維持させてる」と言ってる(キャプチャ画像は一部加工)。スティーヴン・キングもルブロン・ジェイムズも青認証マークの扱いに異議を唱え、「自分は金は払わない」と宣言していたので、嫌がらせをしている。
〔略〕
青認証マークが消えたことより、Twitterはもう完全にイーロン・マスクの私物なので、マスクがやりたいことをやりたいようにする場だということが示されているということのほうが重要。
んで、奴はChatGPTに対抗してTrutherGPT、じゃなかったTruthGPTを始めるってことだから、……

……このままTwitterを使い続けることは、自分がここで書いたテクストをマスクの私物のLLMに食わせてもいいですよという意思表示をすることになる。生成AIが、二次利用が明示的に許可されていないテクストまで取り込んで二次利用していることが問題視されているが、TruthGPTの問題はそのレベルでもない
テクストだけじゃない。たぶん写真も絵も、勝手に収集されて勝手に使われることを想定しておいたほうがいい。何しろもうTwitterは、イーロン・マスクの私物だ。

Twitterから完全に心が離れたのは、これらを読んだ瞬間。そこまで幼稚な公私混同や職権濫用が為される場になってしまったのか、と。確かに私物化されている。すべてはCEOの思し召し次第、と御自らが身をもって示している。思し召しに叶えば、ユーザーの尊厳など簡単に踏みつけにされ、奪われてしまう。今回はマークの表示で済んでいる、でもこの先は?

心が離れたというのは、この場合わずかばかりの愛着すら感じなくなったということで、そういう時は人情が引っ込んで非情が表に顔を出す。蟹から山羊に交代。

実際はどうあれ、サービスの提供者と利用者は契約上対等な立場のはず。それなのに一方は拘束され、他方はそれを破ってもいい現状、もはや無法といってもいい。そんな場所に用はありません。Twitterを通して得ていた情報も、フォロワーさん方とのつながりも、次の行き先も、ひとまず横に置いておいて撤収。とにかく撤収。

他にも色々見聞きした気もしますが、主な要因は以上です。

付記: 離脱を決めた後に見つけた記事等(随時更新)

イーロン・マスクは邪悪な天才などではない。彼は運良く強大な権力を手にしたが、説明責任をほとんど果たすことのできないただの凡人である。Mastodonの運営者にはマスクのような傾向を持つ人物がいて、そこにユーザが放たれることになる。だが、そこには明確な違いがある。ユーザは2つのリンクをクリックして、別のインスタンスに移行できるということだ。そんじゃーねーーーー!

声出して笑いました。そう、もしもマスク氏が邪悪な天才だったら、私は抵抗する気力も湧いてこないままTwitterと運命を共にしていたかもしれません。幸いにしてそうではないし、積もり積もってなんか冷めちゃったので、お暇するわけです。
(メモ: 「そんじゃーねーーーー!」の原文は "Bye-eee!")

Twitterはかつて、どのツールでツイートされたかを表示してもいた。

そういえば、いつの間にかなくなっていました。

〔略〕Twitterは公開を前提に作られている。非公開のTwitterアカウントもあるが、プライバシー設定が制限されたFacebookアカウントなどに比べればそれほど一般的ではない。

…………確かに、英国のナポレオニック界隈の歴史学者さんたちのアカウントを眺めていても、非公開アカウントからのリプライは見かけた記憶があるかどうか。

広告収入で運営されているソーシャルメディアにとって、そのユーザ数こそが広告料を決定する唯一最大の要素だ。〔略〕//Twitterの効用は、何人が利用しているかではなく、誰が利用しているかだ。ハリウッドセレブから国家元首、ジャーナリスト、活動家など、Twitterはプラットフォームとしてよりも、情報源として価値があった。

ユーザー数と広告料の関係は、テレビにおける視聴率と広告の関係を思い起こさせる。その後述べられているのは、認証マークがエリート主義の象徴と見られていた話等。

もはやブルーチェックは、そのアカウントが本人であることを示すものではなく、その人物がTwitterのプレミアムサービスに加入するほど“気にしい(小心者)”だというサインに過ぎなくなった。

「気にしい」という訳語(笑)原文は ". . . someone cared enough to . . . "

  • 5月22日: Twitterアカウントを無効化。30日の猶予期間後に削除される仕様。