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長い18世紀のイギリス

摂政時代のダンディ、《ティーポット》・クロフォード

クロフォード将軍の甥(長兄の子)で陸軍士官でもあったアレクサンダー・チャールズ・クロフォード(1794-1838)。彼は摂政時代のダンディとして有名で、ついたあだ名が《ティーポット》・クロフォード。由来は、彼がイートン校時代からずっと黒いティーポットを愛用していたからとも、頭の形が古めかしい類のティーポットに似ていたからとも。……叔父さんと違って理由が平和だ(平和でいいんです)。

Melton Mowbray には彼につなんで名づけられたクロフォード・ハウスという家があるそうです(→建物と《ティーポット》・クロフォードを紹介するブログ記事建物のデータ紹介ページ

19世紀の書籍に《ティーポット》・クロフォードのエピソードがいくつか紹介されています。社交界の流儀に従ううちに声が出なくなってしまったとか、木登りしているうちに体調が悪くなったとか。ナポレオニック軍人=声がデカイの傾向からすると意外: Grantley Fitzhardinge Berkeley, My Life and Recollections, vol. 4, 1866, pp. 267-8, Google Books.

社交界の有名人として20世紀出版の小説で名前が言及される《ティーポット》・クロフォード: Daphne Du Maurier, Mary Anne, 2013 Google Books.

《ティーポット》・クロフォードことアレクサンダー・チャールズ・クロフォード。ワーテルローの戦いに参加して痛ましい経験をした人という認識だったのですが、社交界の人しかも摂政皇太子と近い系だったとはイメージが変わりました。そして彼の所属は10H。騎兵部隊担当のQMGだったウィリアム・キャンベルと出会っていたかもしれません。クロフォード将軍の元副官ウッドは10Hに転属していたため、こちらとは確実に会っているはず。たくさん連隊がある中で、なんとまあ。

≪ブラック・ボブ≫、≪ティーポット≫、そして≪セ・ボン≫……字面だけ見ているとなんとなく美味しそうです。≪ブラック・ボブ≫のブラックはきっと紅茶のことだったんだ、という幻影。(≪セ・ボン≫は、軽師団長の叔父クィンティン・クロフォード(1743-1819)のこと。マリー・アントワネットが ce bon Craufurd と呼んでいたのだとか)